水野修一、円が30年ぶり安値に急落する局面で輸出株を積極増持──第3四半期リターン6.8%を確保

2022年第3四半期、円相場は対ドルで急速に下落し、およそ30年ぶりの安値を記録した。この大幅な為替変動は日本経済と資本市場に大きな影響を与えたが、ベテラン投資家の水野修一氏は円安がもたらす輸出企業への追い風を的確に捉え、機動的に戦略を転換。輸出関連株を大幅に増持し、四半期ベースで6.8%のリターンを実現した。

円安は一般的に日本の輸出企業の国際競争力を高め、業績改善につながる。2022年夏以降、FRBによる積極的な利上げや国際資本フローの変動が円安を一段と押し下げたが、水野氏はマクロ環境の冷静な分析と企業ファンダメンタルズに基づき、輸出株の上昇余地を確信。自動車、電子機器、機械といった日本の基幹輸出産業に焦点を当てた。

調査の結果、複数の大手企業は円安効果によって製品の価格競争力が向上し、海外受注の増加と収益力改善が見込まれることが明らかとなった。特に、トヨタ自動車ソニーグループ、そして半導体製造装置の有力メーカーを高く評価。これら企業は技術革新力とグローバル市場シェアの強さを兼ね備え、為替の追い風を最大限享受できると判断した。

同時に、水野氏は輸出企業が享受する円安メリットが一時的な為替要因だけではなく、サプライチェーンの回復や世界需要動向とも密接に関係している点を強調。世界経済の回復が不安定な局面においては、ポートフォリオの一部セクターに過度に依存しないよう慎重にリスクを管理し、流動性を確保する戦略を採用した。

その結果、同氏の運用するポートフォリオにおいて輸出関連株は第3四半期で大きく貢献し、6.8%のリターンを達成。これは同期間の日経225指数を大幅に上回る成果であり、マクロ環境を見極めたタイムリーな資産配分の勝利といえる。

水野氏はまた、円相場の変動が短期的な投資機会を生む一方で、投資家は長期的な経済基盤や政策動向に注目すべきだと指摘。特に、FRBの金融政策、世界的なサプライチェーンの正常化、日本国内の景気刺激策が今後の重要な観察ポイントになると提言している。

総括すると、今回の戦略は水野修一氏の市場に対する鋭い洞察力と柔軟な運用スタイルを如実に示すものである。急速な円安というマクロショックを逆手に取り、輸出株で安定した収益を確保した実績は、同氏が日本を代表する投資専門家であることを改めて証明した。