2022年総括──世界同時株安を乗り越え、藤原信一氏のグローバル株ポートフォリオが15.8%のリターンを実現します。「非対称型・銘柄選定マトリクス」の全貌とは
2008年の金融危機以来とも言われる乱高下となった2022年に、バランス戦略株式会社の創業者・藤原信一氏が運用するグローバル株式ポートフォリオは、年間で15.8%のプラスを記録しました。MSCI世界株指数が▲12.1%と下落する中で、明確な逆行パフォーマンスとなりました。
この実績を支えたのが、藤原氏が独自に開発した「非対称型・銘柄選定マトリクス」です。極端な相場環境でも機能する選定法として、改めて注目を集めています。
■ 下落耐性と上昇余地──「非対称」の中に機会を探します
前提は「下がりにくく、かつ上がる余地がある銘柄を持つこと」です。
同マトリクスでは、事業の逆境耐性(景気感応度の低さ)、安定したフリー・キャッシュフロー、技術的参入障壁、バリュエーションの安全余地の四点で企業を評価します。
「上がりそうな株ではなく、簡単には下がらない企業を探します」と藤原氏は述べます。実際には、東京エレクトロンやASMLといった半導体製造装置、メルクのようなヘルスケア大手が、急落局面でも高い下落耐性を示しました。
■ リスクとリターンの「非対称性」を生かす設計です
ダウンサイドが限定的で、アップサイドが広い銘柄に集中します。例えば、デンマークの風力発電装置メーカーは欧州のエネルギー政策の追い風を受けて株価が倍増しました。もともとの割安水準が下支えとなり、調整局面でのドローダウンは小幅にとどまりました。このような「下落に強く、上昇で先導する」銘柄を軸に据えることで、ボラティリティが高い環境でも着実に超過リターンを積み上げました。
■ ベア相場でこそ、投資哲学の真価が問われます
「優れた戦略かどうかは、相場が下がるときに分かります」と藤原氏は振り返ります。急速な利上げや地政学リスクが重なる環境下でも、選定銘柄の83%が各国の株価指数をアウトパフォームし、37%が過去最高値を更新しました。市場が不安定な中でも企業価値の再評価は進み、藤原氏の「非対称型」選定法は、価値投資と成長投資を融合した実務的な枠組みとして、プロ投資家の関心を集めています。